会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2025/12/11
人事労務に関する書類(データ)の保存期間

坂本工業では、年末に大掃除を行っており、書類についても廃棄している。そこで、改めて人事労務に関する書類(電子データ)の保存期間について社労士に確認することにした。

 今年も残すところ、あと20日となりましたね。

 毎年、年末に近づくと1年早かったと感じますね。ところで、当社では、毎年、年末に大掃除を行っており、その際に、人事労務に関する書類を廃棄しています。ここ数年でペーパーレス化を進め、紙として保存する書類は少なくなりましたが、その代わりに電子データで保存しているものが増えています。

 近年はデジタル化の進展により、電子データで保存するものが増えましたね。

 電子データを保存する場合、紙と違い、物理的な保存場所で困ることはないのですが、それが故にいつまでも保存してしまいがちだと思っています。改めて、書類の保存期間を教えてください。

 わかりました。まず、労働基準法に関する書類については、労働基準法第109条で、「労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類」とされており、これらについては5年間(当分の間、3年間)保存が必要です。

 現時点では3年間なのですね。「その他労働関係に関する重要な書類」とは、どのような書類が該当するのでしょうか?

 労働時間の記録に関する書類(出勤簿、タイムカード、残業申請書)、賃金に関する書類(賃金決定関係書類)、労働基準法に基づく労使協定(時間外・休日労働に関する協定届)や各種許認可書(解雇予告除外認定申請書)等が該当します。

 結構範囲が広いですね。

 保存期間は3年間ですが、いつが起算日になるのでしょうか?

 それぞれで起算日が定められており、例えば、労働者名簿は、退職等の日からとなっています。主な書類の保存期間と起算日は表1のとおりです。

表1 主な人事労務関係書類の保存期間(労働基準法)
書類の種類 保存期間 起算日
労働基準法 労働者名簿 5年間(当分の間3年間) 労働者の退職、死亡の日
賃金台帳 最後の記入日(書類ごと)
雇入れ又は退職に関する書類(雇用契約書、解雇通知など) 労働者の退職、死亡の日
タイムカード、残業命令書など労働時間の記録に関する重要な書類 最後の記入日(書類ごと)
災害補償に関する書類 災害補償の終わった日

 これまで起算日を意識していませんが、今後は確認しておく必要がありますね。

 そうですね。労働基準法以外の労働安全衛生法・労働保険・社会保険については、表2のとおりです。

表2 主な人事労務関係書類の保存期間(労働安全衛生法·労働保険·社会保険)
書類の種類 保存期間 起算日
労働安全衛生法 安全、衛生委員会議事録 3年間 作成日
健康診断個人票 5年間 作成日
労働保険 雇用保険に関する書類 2年間 その完結の日(退職、解雇死亡の日)
雇用保険の被保険者に関する書類 4年間 その完結の日(退職、解雇死亡の日)
労災保険に関する書類(請求書類) 3年間 完結の日
労働保険の徴収・納付等の関係書類 3年間 完結の日
社会保険 健康保険・厚生年金保険に関する書類 2年間 その完結の日(退職、解雇死亡の日)

 労働基準法の書類は保存期間が5年間(当分の間、3年間)でしたが、他のものも含めると、書類によって2年もあれば、4年、5年もあるのですね。

 保存期間がそれぞれで異なるため、書類を作成した際に廃棄することも想定して、廃棄の日付を記載しておくとよいかもしれません。

 紙の書類ではなく、電子データで保存しているものもありますが、同様に保存期間が来たものは消去しなければならないということですね。

 そうですね。保存されたデータに個人情報が含まれていると、利用目的を外れた長期での保存という問題が出てきます。

 万が一、情報漏えいが発生した場合にも大きな問題になりそうですね。電子データについても適切に消去する仕組みを社内で検討してみます。

>>次回に続く



 年次有給休暇については、年次有給休暇の取得日数等を記載する年次有給休暇管理簿を作成することが労働基準法施行規則で義務付けられています。この年次有給休暇管理簿は5年間(当分の間、3年間)の保存が求められています。なお、起算日は、該当する期間の満了後です。

■参考リンク
厚生労働省「労働基準法の一部を改正する法律について
厚生労働省「使用者が年休取得管理簿を作成・保管することが義務づけられましたが、どのような点に留意すれば良いでしょうか。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




三可社会保険労務士事務所の代表 三可剛史(さんかたけし)と申します。 【プロフィールはこちら】




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